あおぞら奨学基金

2020.05.07

未来にはばたく奨学生たち -あおぞら奨学基金の今

 全青協が実施している「あおぞら奨学基金」では、東日本大震災で被災した東北三県において、経済的な貧困状態にある家庭の子どもたちを対象に、月1万円、年間12万円の返還義務のない奨学金を供与しています。

 この春も、おかげさまで奨学生が、晴れて高校を卒業することができました。サポートしていただいた皆様にはこころより御礼申し上げます。
 子どもたちには、年2回ほど、学校生活など近況を綴ったお手紙を書いていただいており、事務局等経由で各サポーターにお届けしています。卒業した奨学生からも、喜びの声が届いています。
 しかし、勉強や部活動を頑張った報告など、明るい話題に終始する奨学生がいるかと思えば、複雑な家庭の事情を吐露する奨学生もいます。親が闘病中である、母子家庭で家計を支える母の職場が倒産し、失業している--など、経済的にも精神的にも困難な状況にある子どもたちは、被災地への関心が薄れて各方面からの支援も手薄になった今、未来への希望を持つことが極めて難しい状態となっています。
 2010年から、いわゆる高校授業料無償化が一部始まったものの、こうした制度によっても対象外とされる、制服代や給食費、修学旅行費や通学用品費、部活にかかる費用などは、大きな金額となり家計を圧迫しています。そして、大学や専門学校などの学費が年々上がり続けていることは周知の通りです。
 私たちは、子どもたちにせめて高校だけは卒業してほしいという、祈るような思いで奨学基金を運営しているのです。
 しかし一方で、基金運営についての内情を申し上げると、これまで当会が負担してきた奨学金の振り込み手数料が、昨年4月から倍額あまりに値上げされました。また、消費税増税に伴い、通信費をはじめさまざまな経費が軒並み高騰しており、基金の運営を圧迫しています。
 支援者のみなさまには、子どもたちの未来のために運営面でのサポートを含めて、当基金が持続可能なものとなるようご支援いただければ幸いです。
 ※お問い合わせは全青協03−3541−6725まで

卒業する奨学生からの手紙

※卒業感想文①
将来は人のために

 私の家にはきょうだいが6人おり、一番年上の私にはお金がかけられないと言われていました。しかし、高校に通う定期代をあおぞら奨学基金で払うことができて、おかげで安心して高校生活を送ることができました。
 高校生活は、勉強に集中して取り組むことができた3年間でした。英語のスピーチコンクールでは、最優秀賞を取ることができました。夏休みには就職に役立つ資格を取ることもできました。どれもこれも、奨学金を支給していただいたおかげです。将来は、サポーター様のように人のために何かをしてあげられるような人間になりたいと思います。(宮城県・Aさん)
 

※卒業感想文②
3年間ありがとうございました

 卒業を目前にした今、高校生活を思い返すと、満たされた感覚と寂しさで、涙があふれそうになります。私の3年間はそのくらい内容の濃いものでした。高校生活を無事に終えられたことは、家族や先生方の協力、そしてサポーター様のご支援があってこそだと思います。
 進路については色々と悩みましたが、我が家は母子家庭で母一人の収入しかないため、地元の大学へ進学し、将来は教師を目指して勉強することに決めました。大学へ行っても今まで同様、勉強に励み、夢に向かって頑張っていこうと思います。どうぞお身体にお気を付けてお過ごし下さい。(岩手県・Yさん)

※手紙の内容はプライバシーに配慮して再構成しています。

東日本大震災から5年半―子どもたちの支援のあり方を考える あおぞら奨学基金 子どもたちの未来をつなぎたい -震災から10年の今
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