災害支援

2008.12.01

能登半島地震復興祈念―門前じんのびフェスティバル―

◆「じんのび」企画のきっかけ

平成19年3月25日、石川県輪島市西南西沖40㎞の日本海で発生したマグニチュード6.9の地震は、春を待つ能登半島全域に大きな被害をもたらしました。

全青協では、会員の方々から寄せられた支援金を子どもたちの心のケアのために有効に役立てるため、去る10月1日に、曹洞宗石川県青年会(荒井徹成会長)のご協力を得て「門前じんのびフェスティバル」を開催いたしました。

曹洞宗石川県青年会は、震災直後の避難所に入り、泊り込みでのボランティア活動を行ったことを契機に、毎週水曜日に最大被害地である輪島市門前町の仮設住宅2箇所で「行茶活動」を今も行っています。

「行茶活動」とは、寺院の行事をヒントにしたもので、被災者の方々とお茶とお菓子をいただきながら、ひざを交えて語り合い、その心に寄り添うという心のケアを目的としている活動です。

輪島市門前といえば、曹洞宗の總持寺祖院がある地区です。祖院も震災により甚大な被害を受けているとのことでした。この祖院があったことで、地区の方たちはお寺や僧侶に普段から親しみをもっており、僧侶のこうした活動がすんなり受け入れられたとのお話でした。

また、行茶活動を長く継続していることで、地元の方たちとの信頼関係も築くことができているということです。全青協は、この行茶活動をふくらませた形で、子どもも大人も楽しめる復興祈念行事を企画しようということなりました。

◆行茶で聞こえた生の声

早速、曹洞宗青年会の事務局長、星野正親さんに情報をいただきながら企画案をまとめ、7月末に話し合いや現地視察、行茶活動への参加を目的に石川県を訪問しました。

震災より1年半近くが経過した仮設住宅は、復旧した自宅に戻ったり、民間のアパートに移り住む方も増え、行茶活動に参加する方も徐々には減ってきているとのことです。それでも週に一度の行茶を楽しみにしているという方々が、この日も仮設の会場に集まって来られました。60〜80代の一人暮らしの女性がほとんどで、お茶を飲みながら何気ない日常の会話が続き、和やかな時間が過ぎていきます。しかし、誰からともなく、半年後にせまった仮設住宅の退去の話になり、「だんだん仮設から人がいなくなるね」、「私はもう年とってるから新しい家は無理だわ。早くあの世からお迎えが来ないかしら」などという会話が聞かれました。

復興が進む街では、震災の爪跡は徐々になくなりつつあります。それでも、会話の端々に被災された方の不安な心持ちを感じました。「あの世もちょっと今混んでるから、まだまだですよ」と言うのが精一杯の私に、「そうかね。あっちは混んでるかね」とにっこり微笑む笑顔が忘れられません。

◆大勢の協力者を得て

同じ日に訪問した「もんぜん児童館」は、木の香がするとても素敵な施設です。管轄の社会福祉協議会に今回の企画趣旨と青年会との関係をお話ししたところ、快く使用許可をいただくことができました。また、地元の總持寺通り商店街協同組合の方からもご協力をいただくことができました。

この他にもさまざまな出会いをいただきましたが、真宗大谷派の長谷部淳馨さんもそんなお一人です。同じ宗派の若手僧侶を中心に、仮設住宅でバザー活動などを継続しているとのことで、企画の話をしたところ、仲間を誘って協力してくださるとのお話をいただきました。この訪問後、行事の名称も「門前じんのびフェスティバル」と決まりました。「じんのび」とは、

この地域の方言で「ゆっくり」の意味です。青年会メンバー知人によるミニ演奏会や、オカリナづくり(絵付け)のワークショップも決定しました。

また、神戸の大学生を中心に足湯とマッサージを通じてケア活動を行っている「中越・KOBE足湯隊」も駆けつけてくれることになりました。会場に遠い地区の方々のための送迎車も用意、準備万端整えて当日を迎えました。

◆出会いに感謝する一日

10月1日快晴。当日のスタッフは、石川県曹洞宗青年会の方をはじめとする総勢34名。本当に大勢の方がそれぞれの力を発揮してくださいました。

午後2時過ぎから地区にある2つの小学校の子どもたちが、「こんにちは!」と元気に挨拶をして児童館に入ってきました。子どもが少ないとの情報があったものの、ふたをあけると中学生・乳幼児を含め100名を越す子どもたちの参加となりました。早めに到着した子どもたちは、早々にオカリナの絵付け、ぬり絵、写仏にとりかかります。隣接している門前仮設住宅の皆さん、近隣の皆さんなど、大人の方も20名近い参加となりました。

午後3時のオープニングセレモニーでは、皆で合掌をして全青協の「ほとけさまのおしえ」を朗読。その後の力強いギター演奏や、ハープ、バイオリン、チェロによる美しいアンサンブルは、明るい日差しが差し込む会場全体を包み、癒しの空間を作り出していました。

演奏の後は、お楽しみの焼そばの時間。總持寺通り商店街協同組合の方々が、大汗をかきながら200名分の焼そばを大きな鉄板で焼いてくださいました。足湯隊の活動は、仮設住宅の方々に大人気で、ちょうどよい湯加減のお湯に足をつけマッサージを受けている顔は本当におだやかでした。

今回の企画で大変お世話になった、輪島市社会福祉協議会の事務局長、門前支所の所長も駆けつけてくださり、感謝の言葉を頂戴いたしました。エンディングは、真宗大谷派の保倉謙雄さんのオカリナ演奏にあわせ全員で合唱。今回の出会いに感謝しつつフェスティバルの幕を閉じました。

災害は一瞬にしていのちや生活の場を奪い、恐怖を心の中に生み出します。時が過ぎ、街に復興の兆しが見えたとしても、その喪失感を癒すのはたやすいことではありません。「いのち」や「生活」とは何かという問題に真剣に向き合い、「支え合う」ことの大切さを、この活動を通じて深く学んだように思います。、こうした思いを胸に、全青協では、今後も災害支援活動に取り組んでいきたいと思います。(蓮)

じんのびフェスティバルを振り返って

曹洞宗長久寺副住職 星野正親

私たち曹洞宗石川県青年会は、昨年の能登沖地震以来、行茶活動をしています。避難所にいる被災者の方々に、僧侶として何ができるのか? 日常生活とかけ離れた避難所生活。急激に変化した生活環境の中で温かいお茶を振る舞い、少しでも心が安らぐ時間を過ごしていただければと、避難所でお茶を出すボランティアをしてきました。被災者の方々にお茶を出して、ひざを突き合わして向かい合うこの活動はとても喜ばれ、各避難所を毎日回りました。この行茶ボランティアは避難所から仮設住宅へ移り、現在も週一度水曜日に活動しています。

現在仮設住宅では、新しく家が完成するのを待っている方、再建を断念し、公共の集合住宅ができるのを待っている方が生活しています。避難所当時を含め、日中に仮設住宅で生活している方はお年寄りが大半です。そのお年寄りと子どもたちを交えたこの「じんのびフェスティバル」は、ボランティアによる催し物が少なくなってきた門前の方々にとって、とても喜ばれたと思います。

今回、全国青少年教化協議会さんに声を掛けていただき、お年寄りや子どもたちのために、このようなお手伝いをできたことに感謝しています。

ありがとうございました。

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