東日本大震災支援

2011.04.25

被災地の子どもたち

「風船つくりたーい!」「ねぇ、お坊さん、はやく遊ぼう」と、震災から1ヵ月余りを経過した避難所に、子どもたちの元気な声が響きます。

はじめに石巻市の避難所へ入ったのは、震災から2週間目のことでした。子どもたちの多くは、小さく毛布で区切られた自分の家族の避難スペースでおとなしく良い子に過ごしていました。

避難所には子どものおもちゃや絵本もなく、周囲の家族との境目もありません。そのため、大人に気遣って生活していたのでしょう。毛布をかぶってじっとしている子、姉妹でお絵かきをしている子、1日2回のラジオ体操を楽しみにしている子など、あまり動き回る姿を見ませんでした。大人も子どもも、希望を感じられるような情報もない中、ただ待つだけで、心の体力をすり減らしているようでした。

ところが、風船でできたボールや刀をつくって渡してみるとどうでしょう。子どもたちは大はしゃぎ。気がついたら、周囲は楽しそうな子どもたちの声と笑顔でいっぱいになっていました。元来、子どもには「遊ぶ力」が備わっています。大きな震災の後であっても、窮屈な避難所の中であっても、子どもたちは遊ぶ力に目覚めれば、後は自然に友達をつくって遊びまわるものなのだと、あらためて気づかせられました。

さらに、楽しそうに遊びまわる子どもたちを見て、曇った顔だった周囲の大人たちもどんどん笑顔になっていきました。2日経ち、3日経ち、日に日に元気になる子どもたち。笑顔の子どもたちと歌を歌い、手遊びや風船遊びをするうちに、支援に来たはずの自分もすっかり癒されていました。

未曾有の震災による先の見えない生活のなかでも、子どもたちは遊びながらさまざまなことを学びます。そんな子どもたちの姿に、大人たちは希望を見出して、復興へと歩き出そうとしています。もしかしたら、復興の鍵は、子どもたちの笑顔にあるのかもしれません。今後も子どもたちの笑顔を見るために、支援を続けていこうと心に決めた避難所の訪問でした。

(吉水岳彦)

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