生と死を見つめる集い

2017.01.24

生と死のプロセスワーク/自分自身の死を見つめる

9月29日、今年度6回目の「生と死を見つめる集い」が開催され、「生と死のプロセスワーク/自分自身の死を見つめる」というテーマで、全青協主幹の神仁が講師を務めました。

私たちは、自分自身が死に直面したとき、どのような準備や心構えをすべきなのでしょうか。今回は神主幹の指導のもと、「生と死のプロセスワーク」というアメリカの病院などで行われているワークショップを実際に行いました。

「生と死のプロセスワーク」は、1960年代のアメリカにおいて、看護師が患者のケアを担うに当たって、「自分自身の死生観を確認しておこう」という意図で作り出されたワークショップです。日本においても、最近は看護師だけでなく、看取りに関わる方々のあいだで行われるようになってきたそうです。

 

それでは、以下に「生と死のプロセスワーク」の内容を簡単にご紹介します。

 

① 4色の紙をそれぞれ3枚ずつ、計12枚用意する。今回は緑・青・黄・赤を使用した。

 

② 緑の紙(3枚)には、「私が大切にしている人」を3人書く。※できれば具体的な名前を書く

  青の紙(3枚)には、「私が大切にしている物」を3つ書く。※車・家・結婚指輪・ペットなど

  黄の紙(3枚)には、「私が大切にしている活動」を3つ書く。※趣味・仕事など

  赤の紙(3枚)には、「私が大切にしている役割」を3つ書く。※会社の社長・母・妻など

 

③ 書いた12枚の紙を机一面に並べ、自分が何を書いたかもう一度確認する。

 

④ 部屋の明かりを落とし、瞑想をしながら、呼吸を整え、心を落ち着かせる。

 

⑤ 目を閉じたまま、自分自身の現在の状況(シナリオ)を聞く。

「私は身体の不調を感じ、病院で検査をしました。今、検査の結果を聞くために、医者と二人で診察室にいます。そのとき、深刻な癌を患い、余命6か月であると宣告されました。」

 

⑥ 身の回りの整理を始める。目を開け、まずは12枚のうち3枚を破り捨てる。

 

⑦ 目を閉じ、心を落ち着かせながら、再度シナリオを聞く。

「病院から家に帰ってきました。家の中には、誰にいて欲しいと思うでしょうか。その人に何を言いたいでしょうか。その人からどんな言葉を掛けて欲しいでしょうか。」

 

⑧ 目を開き、9枚のうち3枚を破り捨てる。

 

⑨ 目を閉じ、心を落ち着かせながら、再度シナリオを聞く。

「余命6か月の宣告を受けてから2か月が過ぎました。日に日に症状が悪くなっていることに自分でも気が付いています。私は今どこに居るでしょうか。どのような生活を送っているでしょうか。何をしたいと思っているでしょうか。」

 

⑩ 目を開き、6枚のうち2枚を破り捨てる。

 

⑪ 目を閉じ、心を落ち着かせながら、再度シナリオを聞く。

「また2か月が過ぎ、余命2か月となりました。身体もだいぶ衰弱し、痛みも強くなってきました。私は今どこに居るでしょうか。誰が私のそばにいるでしょうか。誰にそばにいて欲しいと思っているでしょうか。」

 

⑫ 4枚のうち2枚を破り捨てる。

 

⑬ 目を閉じ、心を落ち着かせながら、再度シナリオを聞く。

「宣告を受けてから6か月が経とうとしています。身体はほとんど動かなくなってきました。自分自身に対してどのような思いを抱いているでしょうか。死を迎えるに当たって、どこに居るでしょうか。誰がそばにいるでしょうか。」

 

⑭ 目を開け、残り2枚の紙を裏返しにする。そして、2枚のどちらかを隣の席の人に破り捨ててもらう。

 

⑮ 最後の1枚を確認する。

 

⑯ 最期の旅立ちのときを迎え、最後の1枚を自分自身で破り捨てる。

 

 「生と死のプロセスワーク」は、少し苦しい作業でした。「死」は、誰しも必ず直面します。それでも、日常を慌ただしく生活していると、なかなか自分自身の「死」についてゆっくりと考える時間がもてません。今日は「生と死のプロセスワーク」を通し、自分自身の「死」と向き合い、それは同時に、自分自身の「生」とも向き合う時間となりました。

 神主幹は、自分自身の最期をどうやって迎えるか、家族の最期をどのように送るのか、日頃から自分自身で考えておくこと、そして家族で共有しておくことが大切であるといいます。最後に「日頃から自分自身を見つめていることこそが、今日一日を輝いて生きる一番の秘訣」と述べ、今日の集いを締めくくりました。

お坊さんの死生観 お釈迦さまの最後の旅Ⅰ
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