東日本大震災支援

2011.12.20

お坊さんによる クリスマスお楽しみ会 in 石巻・大船渡

全青協は2011年12月末、支援事業の特別プログラムとして、宮城県石巻市と岩手県大船渡市の仮設住宅にて「クリスマスお楽しみ会」を開催しました。地元の僧侶の他、浄土宗報恩明照会や生活困窮者の支援を行う「ひとさじの会」のメンバーなど、各地から僧侶やボランティアが駆けつけ、催しを盛り上げました。
「お坊さんがクリスマス会? ヘンなの~いいの?」
そう言いながらも子どもたちは、会場に運び込まれる遊具や、キャラクターの着ぐるみを着た若いスタッフを前に、準備の段階から目をキラキラと輝かせていました。

     

音が響きやすい仮設住宅で、周りに気を遣いながら毎日を過ごしている子どもたち。全青協スタッフがいつも気になっていたのは、子どもたちがエネルギーのやり場を失っているように見えたことです。
いつも一緒だった近所のお友だちとも、離ればなれになってしまっているかもしれません。実際に家族を亡くした子どももいます。そこで、子どもたちに思う存分手足を伸ばして遊んでもらおうと作ったのが、「プレイルーム」です。

会場となった集会所の一角に、おもちゃや遊具を集め、スタッフが交代で遊び相手となりました。子どもたちは市内各所からやってきては、入れ替わり立ち替わり遊びの輪に加わっていきます。
中でも、ウレタン製の刀のおもちゃが、なぜか小学生の女の子に大人気。若いスタッフが、寄ってたかって彼女たちの集中攻撃にあう場面も......。
興奮して甲高い声を上げながら騒ぎはしゃぐ子どもたちのパワーはものすごく、普段のストレスの大きさを感じさせるものでした。

また、大人たちが集う広間では、さまざまな種類のハーブティーやオーガニックコーヒーを提供しました。担当するのは、地元の全青協会員寺院の、檀信徒を中心に結成された有志の集い「洞源院叢林舎」の皆さんです。普段より全青協スタッフと共に仮設住宅などでハーブティーサロンを開いたり、催しの広報を担当したりと、孤立防止と住民同士の輪をつなぐ活動をすすめています。
「これ以上美人になったら困っちゃう~、父ちゃん替えねばなんね~な」
妙齢の(?)ご婦人が選んだのは美肌効果のあるローズ茶。そのひと声にどっと笑いが起こりました。ハーブティーの爽やかな香りが会場中に広がったところで、ソプラノデュオによるミニコンサートも開かれ、会場ではお年寄りが童謡「ふるさと」や「見上げてごらん夜の星を」など、懐かしい曲を一緒に口ずさむ光景が見られました。

大船渡の会場では、ネイルケアも行われました。作務衣姿の僧侶がネイルケアに取り組む姿は珍しく、「私、お坊さんにやってもらいたい!」と地元の女性にも大人気。おしゃべりをしながら、いつの間にか女性たちの爪はぴかぴかに整えられていました。
和やかな雰囲気に包まれた両会場ですが、被災後の生活設計への不安といらだちを、大きな声で僧侶に訴える男性の姿も見られました。

被災地域では依然として、各住居内での孤立と自死の増加が懸念されています。また、親の失業のため進学を諦めたり、進路の変更を余儀なくされたりしている子どもも、かなりの数にのぼっています。今後は、こうして集える場を提供するとともに、他団体とも協力し、義務教育の年代に比べて経済的支援が手薄な、高校生を対象とした奨学金制度を作る予定です。
「楽しかったよ~」「ねぇ、あしたも来てよ~!」そんな子どもたちの声に見送られながら、各自、再訪を誓うスタッフでした。

被災者支援のためのグリーフ(悲嘆)ケア入門講座 鹿妻保育所の祖父母参観日&お茶会
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