あおぞら奨学基金

2016.03.11

被災地の"いま"を知る―子どもたちの明日のために

◆遠い復興への道のり

 死者・行方不明者あわせて1万8000人以上、関連死を含めると2万人以上の犠牲者を出した「あの日」から、丸5年を迎えます。
 がれきが積み上がっていた沿岸部の町はすっかり片付けられ、あらゆるものが押し流されていた町には、真新しいすまいがぽつり、ぽつりと建てられ始めています。しかし、私たちが考えるような復興とは未だ程遠いのが、被災地の現状です。
 復興庁の発表によると、2016年1月時点での全国への避難者は17万8千人にのぼります。避難者のための公営住宅の建設計画も、当初の予定よりも大幅に遅れており、特に福島県では原子力発電所の事故の影響により、避難者向けの住宅の完成は2割にも満たない状況です。
 また被災地では人口減少も深刻で、昨年10月の国勢調査によれば、宮城県女川町のように人口が4割も減ってしまった自治体があります。さらに福島県では、全域が避難区域となっている浪江町、双葉町、大熊町、富岡町の4町の人口はゼロとなってしまいました。同じく福島県内で避難区域などが設定されている市町村では、原発事故前に比べて小・中学生が7割も減ってしまっていますが、被災地の中でも特殊な状況が続いていることから、今後も子どもたちがふるさとの学校には戻れないことが予想されます。
 このような被災地に関する報道は、ここ数年めっきり減ってしまいました。東北の方々が抱える悩みや苦しみは、ほとんど代弁されることなく、忘れられ始めているように思えてなりません。
 この5年を機に、多くのNGOやNPOも支援活動から手を引いています。どこの団体でも、募金が集まりにくくなり、支援のための資金が不足しているのです。5年の節目を迎え、それがさらに加速することが懸念されます。

◆子どもたちのこれからを支えたい

 ストレスや経済的な問題は、家族の絆をも揺るがしています。沿岸部の被災地に赴けば、離婚する家庭、特にシングルマザーが増えている現状をそこかしこで耳にします。
 全青協では、2013年から貧困状況にある高校生に、返還不要の奨学金を供与する「あおぞら奨学基金」を始めました。応募者で目立つのは、やはりシングルマザーの家庭です。世帯年収が200万円を下回り、中には50万円という生活保護水準以下の家庭も少なからず見られます。
 高校生たちは、学用品や勉強に必要な書籍を購入することもままならず、生活費を補填するためのアルバイトに明け暮れています。家計の負担を考え、進学を希望することをあきらめようとする生徒も多く存在しています。また、小学生も、家庭の困難は決して表に出しませんが、大人の目線を独り占めしたいという想いは痛いほど伝わってくるのです。このような状況を、地元以外の人が知ることは難しいでしょう。
 しかし、この5年間、子どもたちはたくましく、着実に成長しています。
 恥ずかしがり屋の高校生だった生徒は、お母さんを少しでも楽にさせてあげたいと、夢に向かって専門的な技能を日々、学んでいます。赤ちゃんのようだった子は、今では下級生の面倒を見る優しいお姉さんになりました。「ふるさとが好き」「地元に少しでも恩返しをしたい」と話す子どもたちに、大人たちはどれほど勇気付けられることでしょう。
 全青協では、今後も「こころのつながり支援事業」として、「子どもの心身の育成サポート」「高校生の未来創造」「家庭・地域のつながりづくり」を柱に、長期的な支援活動を行っていきたいと考えています。今後も被災地のことを思い出していただき、大きな支えとなっていただくことをお願いする次第です。

あおぞら奨学基金 東日本大震災から5年半―子どもたちの支援のあり方を考える
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