あおぞら奨学基金

2021.05.10

新たな道を歩み出した第9期あおぞら奨学生 -10期生の募集と支援へ向けて

 全青協が運営している「あおぞら奨学基金」では、東日本大震災で被災した東北三県において、経済的な貧困状態にあるご家庭の子どもたちを対象に、月1万円、年間12万円の返還義務のない奨学金を供与しています。
 2012年より運営を開始いたしました「あおぞら奨学基金」は、おかげさまで2021年3月にて9期目の卒業生が無事に新たな進路を歩み始めました。ご支援を賜りましたサポーターの皆様に、心から御礼申し上げます。
 2020年度の卒業生は134名。それぞれ4年制大学、短期大学、専門学校等への進学、水産業、サービス業、公務員など、さまざまな職種への就職の報告が聞こえてきました。中には将来自分の夢をかなえるために、一端地元企業に就職し、進学のための学費を蓄える選択をした生徒さんもいらっしゃいます。

2020年度の卒業生のみなさんは、未曾有のコロナ禍において今までとはまったく違う進路の悩みがあったことと思います。
新型コロナウイルスの影響でご家庭の経済状況が変わってしまった生徒さんもいらっしゃいます。また、「今後世の中がどのように変化していくのか」「進学先や就職先でどのようなことが求められるのか」「あらゆることをどのタイミングで決断するべきなのか」、親御さんも学校の先生も、誰にも答えられない疑問や不安が渦巻いていたことと思います。
そんな中でも、真剣に将来を考え、家族を思い、お一人おひとりが懸命に選んだ答えと、それに伴う努力に心から賞賛を送りたいと思います。
卒業生のみなさんの前途がどうか素晴らしいものとなり、いつかこの大変だった日々を笑って懐かしむことができますように、きっと穏やかな、そして充実した幸せな毎日が待っていますようにと願ってやみません。

 さて、卒業生を見送るとまた新しい年度がスタートします。今年度も引き続き新たな奨学生の募集を開始いたします。
震災の爪痕が残る中、まだまだコロナ禍の影響は免れない様相を呈しております。すでに昨年度中より、今年度の募集についてのお問い合わせもございました。高校授業料無償化が進んではおりますが、通学費、制服代や給食費、教材費、部活動、修学旅行などの課外授業費は変わらず家計を圧迫しています。
サポーター様からの温かいご支援、そして奨学生のみなさんへの心のこもったお手紙に、受け取られた生徒さんたちは強く支えられていると感じます。また、高校のご担当教諭やご家族からも感動のお声を頂戴しています。

東日本大震災から10年が経ち、ご存知のように政府主催の追悼式も今年3月が最後の開催となってしまいました。実質的に復興が成っているのか、生活の立て直しがどの程度進んでいるのかは、その土地に暮らす方にしかわかりません。そして当然のことながら、そこにいらっしゃる人びとの間にも、各々の状況によって差が生じてしまいます。記憶が薄れることのないよう、支援の隙間からこぼれ落ちてしまう方々の助けとなれるよう、この同じ時代に生きる者として、当事者意識を忘れることなくありたいと思います。
しかし一方で、当基金の運営諸経費は、消費税や通信費等の値上げにより、近年高騰の一途をたどっております。当基金が、せめて高校卒業までの一助として在り続けられるように、今後とも何卒ご支援ご協力を賜りますれば幸いです。

東日本大震災から10年  -今、私たちにできることとは 旅立ちの春を迎えた奨学生 -あおぞら奨学基金の今
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