寺子屋ふぁみりあ

2012.01.26

絆をつむいで

2012年最初の「ふぁみりあ」は1月25日に、浄土真宗本願寺派善了寺住職でNPO法人カフェ・デラ・テラ理事の成田智信先生を講師にお迎えし、「絆をつむいで~悲しみを粗末にしないグリーフケア~の実践からの学び」の演題でご講演いただきました。

講演要旨

私は横浜市の戸塚から来ました。NPO法人カフェ・デラ・テラの理事をしております。
「カフェ」というのは、通常はお茶を飲む所であったり、喫茶店の意味であったりしますが、外国では大変重要な場所だそうです。
明治学院大学の辻信一教授は、「カフェ」とはいろいろな人達が集い、人と人がコミュニティを作る上で大事な役割を持っている場所だとおっしゃっていました。
そこで、お寺というのはカフェだったのではないかと考えまして、お寺をコミュニティスペースにして、いろいろな人が出会い、語り合い、学び合う場所にしていこうという思いで、「カフェ・デラ・テラ」と名づけました。
私たちの所では、通所介護のデイサービスもしていますが、その中で、「グリーフケア」という言葉も出てまいります。
それは、悲しみを粗末にしない場所ということです。
今日はそんな中から学んだことをお話ししたいと思います。

グリーフケアにおいては、悲しみ比べをしないことを大事にしており、切なさや辛さを、学びに変えていけることが重要です。
両親を亡くされた方、病院で亡くなられた方、事故で亡くなられた方。
そのどなたにも優劣はございません。
そのような考えから、さまざまな集いを設けさせていただいています。ケアというのは、できないことをできるようにすることも重要ですが、自分の所で運営しているデイサービスにおいて貴重なヒントを下さった、三好春樹先生(生活とリハビリ研究所代表)は、ケアは「関わることを豊かにしていくことだ」とおっしゃいました。
例えば食器ですが、土で作ったお茶碗を使っています。
土で作った食器の感触は、プラスチックで作ったものとは違うと思います。
また食事の支度も、利用者さんも一緒に行います。

グリーフケアを考える上では、大事な方が亡くなった悲しみを、一緒に聴かせていただく。どのように絆をつむいでいくことができるだろうか。
そのようなことが考えていく上ですごく大切なポイントであるように思います。

「涙」という字は、さんずいに戻ると書きますが、安心できる仲間の中で涙を流すというのは、絆を取り戻していくことなのです。
そういう場所がお寺でありたいと思っています。
ボディタッチよりも、心の距離感、絆というのが大事であることを、私たちは忘れがちになってしまうのではないでしょうか。

現在私たちは、戸塚にお堂を建設中です。
インターネットで、「茶堂(ちゃどう)」ということばで検索してみて下さい。
お堂の文化は、人と人が物理的に関わる文化になっていたのではないでしょうか。

日本で初めてひきこもりのネーミングをされた、富田富士也先生(子ども家庭教育フォーラム代表)は、私たちの社会は、コミュニケーション不全の社会ではないかという指摘をされました。
物理的に人と人が関わる回数は減っています。「向こう三軒両隣」という言葉も、わからなくなってきています。
だからこそ学ぶということ、人と人が学び合うコミュニティが大事になってくるでしょう。
昔の寺子屋では、自分で机を持って行き、「読み書きそろばん」を学びました。
具体的には例えば、人と人の関係をどう保つかを学ぶといった意味合いだったそうで、現在の塾とは異なるものでした。

それでは、「関わることをどう豊かにしていくか」ということですが、多様な人達から学んでいくことは大切だと思います。
その時に私自身が大切にしていることは、「きく」ということです。

具体的には、
「聞く」 : 事実を事実のまま受け止める
「訊く」 : 興味を持って相手に尋ねていく 英語のask
「聴く」 : 英語のlisten 言葉の奥にある思いを探っていく

この三つを循環させることが大事なのではないでしょうか。

「関わりを豊かにしていく」というのは、心を育てていくことですが、「心」はどこにあるでしょうか。
よく頭や心臓とお答えになる方が多いですが、心というのは、関わりの中に生まれてくるのではないでしょうか。
「心ここにあらず」という言葉があります。
心を豊かにするということと、さまざまなアプローチをして関係性を深めていくことが、繋がっていくのではないか。
それがまた、道を豊かに切り開いていくのではないでしょうか。

死を考えることは嫌な事ですが、誰もが必ず直面することです。
だからこそ、死を考えることで、繋がり合っていくこともできるのではないかと思います。
昔の法事は、そういう場所でした。

今日は最後に、「聴く」ということを大事にしながら、思い出の曲として、「涙そうそう」を聴いていただきます。

( 森山良子「涙そうそう」 鑑賞 )

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