寺子屋ふぁみりあ

2010.07.31

問うてみませんか?家庭の場(3)

生活の土台は家庭生活から

私たちが人に対し行動することについて考えてみると、まず相手に対する伝え方として「表現の選択」をします。そして実際に行動に移し、その結果(反応)を確認する、という一連のことを毎回行っているのです。その時、実際に行動(表現)した後、相手がどんな反応を示したのか、そこを知り、確かめることがとても大切なのです。

これは行動パターンとして一生涯つながり、その人の関係性のひとつの土台となっていきます。子ども時代に、家庭の中でこうした雛形がたくさん育まれることが望ましいと思われます。

子どもの健全育成ということについて考えた時、対症療法といわれるように、日本では起きてしまった問題について研究がなされることが多いものですが、外国では「健全とは何か?」というところから、問題を未然に防ぐ方法を考えていくことが一般的な傾向です。

健全育成に大切なこととして、ここにひとつの研究結果があります。大切なことの柱としては、第一には家庭環境、そしてとりわけ、「同性の親の社会的立場(活動)」そして「兄弟数」が大切なこととしてあげられています。同性の親の......とは、親の後姿を見ているということでしょう。また兄弟は4人以上が望ましいということが言われています、多人数にもまれることが理想的なのかもしれません。

最近では、「個」の確立、つまり、私は私、誰の犠牲にもなりたくないという考え方があまりに進んでしまったせいか、家族関係がますます希薄になっているように思います。相談を受けていても、「殺してしまいたい」「消してしまいたい」などと物騒な、お金や物をめぐる親子関係間の争いが非常に多くなってきています。幼少期だから、青年期だからということだけではなく、それらをどう解決していくかは一生涯の問題であり、努力の積み重ねの上でこそ成り立つものなのです。生活の土台は、家庭生活の中にあることを、いま改めて問うていきたいと思います。

(6月12日、7月3日『親学ふぁみりあ』講演より抜粋)

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