寺子屋ふぁみりあ

2017.11.02

こころに深く静かによりそう

10月5日、平成29年度第六回目の寺子屋ふぁみりあが開催され、栃木県カウンセリングセンターカウンセラー・惠光寺坊守の宗﨑知子先生による、「こころに深く静かによりそう」をテーマにしたワークショップを行いました。
 以下はワークショップの抄録です。

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1.タッピングタッチ

心と体の両面に働きかける、シンプルなケアの技法です。両方の手で体全体をトントンとタッチしていくだけなのですが、効果は不安や緊張が減ってリラックスできたり、不眠予防や痛みの軽減、関係性の改善などがあります。

 <手順>

(1)腕をブラブラして、心身をほぐす。

(2)顎、頬、こめかみ、額と頭全体、後頭部、首と肩、胸、腹、腰の順番にタッピング。一通り終わったら、自分の心地よいところをタッピング。

(3)全てが終わったら、両手を重ねて下腹において静かに呼吸を整え、落ち着いた心と体を味わいながらリラックス。最後に「よしよし」という感じで、お腹を丸くさすりながら、リフレッシュして終わる。

 

2.夜廻り猫

漫画「夜廻り猫」を素材にして、相手によりそう態度を学んでみましょう。

「夜廻り猫」は、深谷かほるさん原作の漫画で、猫の遠藤平蔵が主人公です。現在もツイッターで更新されています。若い人たちから人気が出て、今年手塚治虫文化賞を受賞しました。

 <ポイント>

遠藤平蔵は何をしているのか?
漫画の最初と最後では、登場人物の様子は何か違っているのでしょうか?

 

3.GAP(Grounded Aware Presence)

こころの内側を扱う際には、体全体がどっしりと落ち着いて、地に足がついている状態になっていることが必要です。落ち着いてこれからの実習に取り組めるように、ゆったりと体がリラックスして、地に足がどっしりついている感じになるように整えていきます。そして同時に、今ここにいる感じや、集中力が伴うように準備をしていきます。

 <手順>

(1)体を緩めて、楽に座れる姿勢を見つけて、ただ体に注意を向けていきます。ゆっくりと自分の呼吸にも注意を向けていきます。

(2)Grounded(地に支えられている) 

注意を自分の土台に向けて、体全体の重さを感じてみて下さい。体はどんな風に地についているでしょうか。地面の硬さに身をゆだねて、本当に落ち着いて楽にしているか味わってみましょう。体全体がしっかりと今ここにいることを味わってみましょう。

(3)Aware(気づいている)

注意を頭に向け、耳だけに注意を集めていきます。周りにどんな音がするでしょうか。雑念には入り込まないで、音に注意を向けて下さい。音の周りの静けさにも気づきましょう。また、自分の周りの空間全体も感じてみて下さい。

(4)Presence(ここにいる)

注意を胸の真ん中に向けて、片手を優しく心臓の上に当てて、ただここにいて、生きて、呼吸をして、感じている自分自身。それを体験してみて下さい。

(5)注意を自分の体全体を取り囲むように行き渡らせて、地に支えられて、気づいて、ここにいる。そして、しばらくゆったりとして下さい。

 
4.間を取る(ペアのワーク)

立ち止まることによって、単なる答え以上のものが感じられる余地が生まれることに、気付くことです。間の効果を実感して下さい。

<手順>

1回目 聴き手は、話し手に「体調はいかがですか?」と問いかける。

    話し手は、日常的なやりとりの感じで応答する。

2回目 聴き手は、話し手に「体調は、本当の所いかがですか?」と問いかける。

    話し手は、合図があったら答える。

    聴き手は、合図するまでに10秒の間を置くようにする。

 

5.沈黙の聴き方(ペアのワーク)

話し手は、身体の実感に触れながらゆっくりと話し、聴き手は、伝え返すという課題を持たずに、ただ黙って話を聴いて、相手の話の本質や聴き手自身の実感に触れる表現を感じ取ります。

 <手順>

(1)二人とも、気持ちが落ち着くのを待つ。

(2)話し手は、内側にある感じに注意を向けながら、ゆっくりと話す。客観的な事柄だけではなく、その話で最も大切なことや内側の感じを言葉で表現する。

(3)聴き手は、音声や表情、しぐさなど全身でよく聴いていることを伝えながら聴く。聴き手は、自分自身の反応が出てきたら、それに気づいて価値判断することなく受け入れて脇に置き、また相手を共感的に傾聴することに戻る。

 

6.シュヴィング的居方

シュヴィングの「精神病者の魂への道」という本に、「相手によりそう」というケアの基本的な態度が紹介されています。

19世紀末の精神病院は薬物療法が無かったので、とても大変な所でした。檻や柵がある所で、統合失調症の方を拘束して人間的な扱いをせず、病院側もお手上げ状態です。

シュヴィングという看護師さんは、毎日同じ時間に、ある重症患者さんの所に行き、ただただ座っていることをずっと繰り返します。その患者さんは、顔も出さずに毛布の中にくるまり、栄養剤や注射で栄養をもらっていた状態の方で、何年も会話していません。

ある日その患者さんがちょっと動いて、「あなたは私のお姉さんなの」と聞いたそうです。シュヴィングはその時に、「違います」と答えました。これは、嘘をつかないということです。

相手に対して「何をするか、言うか」ではなくて、「どんなふうにそこにいるか」というのが重要です。

「若者のこころを代弁する その2―体験からの『当事者研究』」
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