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2021/11/30

―子どもたちに豊かな地球をつなぐキャンペーン-「2021年度 臨床仏教研究所公開研究会」を開催しました

 当研究所では、11月30日に、東京グランドホテル(曹洞宗檀信徒会館)にて、2021年度「臨床仏教研究所公開研究会」を開催いたしました。(公益財団法人全国青少年教化協議会・臨床仏教研究所主催、公益社団法人全日本仏教婦人連盟および公益社団法人日本仏教保育協会共催)
 本会は開会挨拶により開始され、まず、東京慈恵会医科大学学長・松藤千弥先生を迎え、「ゲノム・いのち・共生 分子生物学が物語るもの」をテーマに80分間の基調講演が行われました。遺伝子研究がご専門の松藤先生は、分子生物学の観点より、ゲノムや進化について、またそれらをもとにした人間の心や行動の成り立ちについてお話を下さいました。

 後半は、「東京慈恵会医科大学における“いのちのケア”の歴史」を講題に、神仁臨床仏教研究所研究主幹が東京慈恵会医科大の歴史を紹介しました。東京慈恵会医科大学の源流は、高木兼寛(嘉永2年(1849)―大正9年(1920))によって明治14年(1881)5月1日に創立された成医会講習所に始まります。明治15年(1882)、高木は戸塚文海とともに有志共立東京病院なる慈善病院を尾張徳川家菩提寺:芝天光院内に発足しました。この病院の設立趣意には「貧乏であるために治療の時期を失くしたり、手を施すことなく、いたずらに苦しみにさらされている者を救うこと」にあるとしています。また、明治期の東京慈恵会医科大学では、外来患者待合室における慰問講話(法話)が行われていたことが紹介されました。建学の精神「病気を診ずして病人を診よ」は、創設者高木兼寛が目指した「医学的力量のみならず、人間的力量をも兼備した医師の養成」を凝縮したものです。この精神は看護学教育にも「病気を看ずして病人を看よ」として取り入れられています。

次いで、「科学と仏教の対話-いのちの共生を考える」というテーマにて、松藤先生と神研究主幹による対談がなされました。
親子間の遺伝についての話が取り上げられた際に、松藤先生は「親子や兄弟は遺伝的性質をちょうど半分くらい共有しており、行動特性の多くは遺伝要因であり、残りの半分程は環境要因である。」ということをお話下さいました。

また、松藤先生は、自然界にみられる様々な共生の事例を紹介して下さり、「長い目で見れば利他的行動が自己の生存・繁殖を有利にしている。すべての生物はほかの生物がいなければ生きられない。」と説かれました。

地球上のすべての生物はひとつの祖先から進化しており、すべては関わり合い、繋がり合いながら生きています。私たちは、今まさに、すべての存在に対して「慈しみ」と「感謝」の念を抱き、「少欲知足」を旨とした、真実の「共生社会」の実現を目指すべきものと考えます。全青協では、これからも釈尊が説いた縁起観(相互依存性)に基づき、環境破壊から環境再生・維持へと強い意志を持って、このキャンペーンを実践してまいります。

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