平和を学び・考え・願う 青年仏教者の集い

2002.09.11

結集!―平和を学び・考え・願う 青年仏教者の集い― For Love and Peace

企画に際し

2001年9月11日、この日を境に世界は21世紀初ともいえる大きな暴力の渦に巻き込まれることになりました。アメリカ・アフガニスタン、イスラエル・パレスチナ、インド・パキスタンなど、宗教や民族といった枠組みによって、人々が憎しみあい暴力を正当化する風潮が世界中に蔓延しています。

「怨みによって怨みは決して止むことはない、怨みを捨ててこそ怨みは止むのである」とは、原始仏典の中の有名な一節です。この貴重な教えを仏教者は、今まさにじっくりとかみ締め、自ら実践し、社会に対して訴えかける必要があるのではないでしょうか。とくに21世紀の社会を支えていく青年僧侶の役割は、誠に大きなものがあります。

私たちは、改めて青年仏教者一人ひとりが、暴力のない平和な社会を実現するために具体的に何ができるのか、宗派を超えて一緒に考えたいと思います。そして、この1年間、世界各地で犠牲になった多くの方々の追悼と、平和への祈りの場にしたいと思い、「結集!」を開催しました。

当日の模様

2001年9月11日に全世界を震撼させたニューヨーク同時多発テロからちょうど1年、2002年9月11日に新宿の常圓寺において、「平和を学び・考え・願う青年仏教者の集い」と題し、同実行委員会の主催、全青協と、アーユス仏教国際協力ネットワークの後援でシンポジウムが開催されました。

上村英明さん まずはじめに恵泉女学園大学助教授の上村英明氏が、「真実を知る、貿易センタービルが語る世界の現状」というテーマで講演を行ないました。
上村さんは、アメリカ主導のグローバル化が進むなか、先進国の価値観に振りまわされている発展途上国の背景を、特に経済という切り口からお話しされ、テロの起こる不安定な世界情勢を分析しました。

その後、参加者が7つのグループに分かれ、講演を聞いた感想と、自分たちが具体的に平和のために何ができるのかをディスカッションしました。引き続き行なわれた各グループの意見発表では、「まず僧侶の側が少欲知足を実践し、身近なところから平和を説いていくことが大切」「同時多発テロについて、テレビや新聞などの偏った情報しか知らなかった。仏教者も他人事ではなく、世界で何が起こっているのかを正しく認識するべき」などの意見が出ました。

続いて、同寺本堂で参加者全員で犠牲者の追悼と、平和を願う法要が営まれました。
日蓮宗の寺院で般若心経や無量寿経がよまれるなど、通常では見られない宗派を超えた読経の中、参加者全員が平和への祈りをささげました。(総)

心の教育に出会う旅 ―もう一人の自分との対話を通じて―
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