正力松太郎賞

2023.06.09

第47回正力松太郎賞 受賞者決定!

 全青協が主催する「正力松太郎賞」は、1976年より実施している表彰事業です。仏教精神に基づき、長年、日曜学校・子ども会などの青少幼年を対象とした教化活動を献身的に行っている方、あるいは仏教精神に基づき、文学・音楽・美術・演劇・スポーツ・福祉などの文化・社会活動を通じての教化活動に業績をあげている個人や団体を毎年表彰してまいりました。
 これまでの受賞者には、教育者の無着成恭さん、詩人の坂村真民さんをはじめ、後進にも広く影響を与えた仏教者・団体が多く存在しています。
 6月8日、「第47回正力松太郎賞」の選考委員会が開催されました。
 作家の玄侑宗久さんをはじめとする、仏教界や各界で活躍されている選考委員各氏により、今回は本賞に稲佐英明さん(真言宗御室派玉泉坊住職・佐賀県)、奨励賞には「グループ阿難」(代表、保倉謙雄さん・真宗大谷派稱名寺住職・新潟県)が選出されました。

正力松太郎賞 本賞

稲佐英明さん(真言宗御室派玉泉坊住職・佐賀県)

体験を通じて自信と自立心を育む
 稲佐英明さんは、長年にわたる青少年とその家族への相談支援活動と、仏教精神に基づく子どもたちの内なる自信と生きる力を育む活動が高く評価され、受賞に至りました。
 稲佐さんは、中学校や高校にて長年、教師を務め、相談支援と指導の経験から、1994年に自坊の境内に青少年育成を目的とした「精神修養道場」を建立しました。道場では毎週日曜日の夜に、不登校やひきこもりの児童生徒などが学習の遅れを取り戻すための「勉強会」を実施しています。会では学習指導だけではなく、般若心経の写経や(瞑想)体験の機会を提供しており、子どもたちの心の安定をはかり、自己肯定感を育む取り組みを行っています。
 また、夏休み期間には「青少年合宿練成会」を一泊二日にて開催しており、40名ほどの地域の小・中学生が参加しています。森の中で行う森林坐禅では、子どもたちが風の音や虫の声などの自然の音に耳を澄まし、精神を集中させながら静かな時間に身を委ねます。子どもたちは野外調理やドラム缶風呂、キャンプファイヤーなどのさまざまな体験を重ねる中で、感謝や助け合いの心を培っています。

「淨教寺仏教青年会」は、1962年に前住職の島田和麿さんにより創設されました。約60年にわたり、檀信徒のこころの拠り所となることや、地域の子どもたちの心身ともに健やかな成長を願って活動を行っています。
現在では、「花まつり」「夏休み子ども会」「秋のハイキング」「街頭募金」など、さまざまな行事を開催しています。夏休み子ども会では、お勤めや、絵本の読み聞かせ、仏教讃歌の演奏や夜店、花火など盛りだくさんの内容で子どもたちを迎えています。

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正力松太郎賞 奨励賞

「グループ阿難」(代表、保倉謙雄さん・真宗大谷派稱名寺住職・新潟県)

音楽を通じて「浄土荘厳」の世界を
 奨励賞の「グループ阿難」は、演奏・朗読活動を通じた長年にわたる地域社会への貢献が高く評価され、受賞に至りました。1987年の初演以来、35年以上にわたり、オカリナやギターなどの音楽にのせて、詩と童話を語るという手法を通じ、人びとの仏教情操のとこころの潤いを供する一役を担ってきました。
 これまで行われた、本堂での「御堂コンサート―ギターとオカリナによる童話の夕べ」では、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」や斎藤隆介の「ひさの星」など、数々の文学作品が取り上げられてきました。会には檀信徒をはじめ地域の人びとが集い、友愛や平和などをテーマとした、作品に基づく法話を聞き、演奏や朗読に一心に聴き入る姿が見られるそうです。
 子ども会や小学校などでも上演される「グループ阿難」の公演には、子どもたち自身が参加することもあり、稽古を通じて、自主性や協力するこころ、他者を支える力などを育んでいます。これらの公演は地域でも評判を呼び、子どもたちの教化と地域活性化の相乗効果をもたらしています。

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 後進の道しるべとして

 正力松太郎賞の候補者は、日曜学校や子ども会など子どもたちの育成活動を柱として活動する方に加え、近年では、地球環境に目を向けた活動や、国内外での平和維持活動など、グローバルな活動を行うケースも目立ちます。
 今回も、いずれの候補者の取り組みも甲乙つけ難く、選考委員会では白熱した討議がなされました。9月28日には東京で表彰式と祝賀会が予定されています。
 それぞれのご活動に敬意を表し、顕彰させていただくと共に、多くの仏教者が受賞者・候補者の皆様と協働して頂くことを念じております。

 

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