海外スタディツアー

2004.04.03

タイ・ミャンマー
"いのち"を観じる旅〈いのちの現場をめぐるスタディ・ツアー〉

文章・イラスト 三宅千恵

 "光り輝く島"――この和訳が表す正にその通りの国、というのがスリランカの第一印象だった。日ざしが眩しくきらめくというだけでなく、スリランカの人々の瞳の奥には光があり、心に光を持って生きているように感じられた。

今回の旅は、主に仏跡・遺跡訪問が多かった。スリランカは現在インドと海を隔てているが昔は陸続きになっていたこともあり、仏教が伝承し、信仰が広まったと思われる。紀元前に建てられた寺院や世界遺産に指定された建造物や仏像の数々が、スリランカの歴史と仏教信仰の篤さを物語っているようだった。

アヌラダプーラのイスルムニヤ精舎 首都コロンボから北上しバスに揺られて6時間、スリランカ最古の都があったアヌラダプーラでは岩に融合して造られた寺院、「イスルムニヤ精舎」を訪れた。岩肌に彫られた象、火の神、豊穣の神は雨にうたれて随分滑らかになってはいたがレリーフを見ることができた。ここでは寺院裏側から岩に登ることができ、360度四方を見渡す景色は絶景だった。

本堂では深紅の衣に身を包まれた大きな寝釈迦や説法するお釈迦様や弟子等の像が一行を迎えてくれた。その色彩の鮮やかさは目も醒める程のまばゆさだった。大きな仏像の前で三帰依文、般若心経を全員で読経した。石窟の中だったため皆の声が響いて、あたかも修行僧が行をしている中にいる様な感覚になった。

ポロンナルワの涅槃像 ポロンナルワ遺跡にある石彫でできた立像・涅槃像の前でも、合掌し読経していた時、現地の子どもたち、はたまた金髪のお姉さんたちまで、共に手を合わせてくれた。人はみな光を求めて生きている。それが実感できる瞬間だった。文化も言語も異なっていても、仏の導く光を求め、礼拝する心はみんなひとつになっているように感じた。

アヌラダプーラでは、インド・ブッダガヤの菩提樹の分け木が植樹された、樹齢2000年のスリハマ菩提樹、ルワンウェリ・サーヤ大塔、宇宙の真理、輪廻転生を表す半月形にレリーフされたムーンストーン、大乗仏教の総本山アバヤギリ大塔、152mものジェータワナ・ラーマヤ、ミヒンタレーの遺跡、ポロンナルワでは沐浴場や宮殿跡の遺跡、とにかく遺跡の大きさ・多さ・歴史や文化の深さに驚くばかりだった。

シギリヤ・ロック 特にシギリヤ・ロックには驚愕だった。その名の通り、巨大な1つの岩なのだが、古代は仏教僧の修験場であり、頂上に王宮跡がある。頂上までは階段やスロープを歩くのだが、頂上まで行く体力は無かった。途中、シギリヤレディという5世紀に描かれた美女のフレスコ画が岩肌にその姿を表す。また、石窟寺院や、説教の岩場等がある。さまざまな魅力を持ち、ジャングルにそびえる巨大な岩は、今もスリランカの陽光を一身に浴びていることだろう。

ダンブッラ石窟寺院の仏像 スリランカ最大のダンブッラ石窟寺院では、岩山の山頂にある天然の洞窟に極彩色の壁画が描かれ、おびただしい数の仏像が安置されている。この石窟寺院も勿論世界遺産だ。洞窟は5つありそれぞれ名前がついている。岩山の別名はランギリ。「黄金色に輝く」という意味だそうだ。2000年以上もの間、人々に光を与えてきたことだろう。

キャンディ湖畔に佇む仏歯寺には、仏陀の歯が奉納されていた。歯を奉納するための宝石がちりばめられた金製の豪華な箱だけだったが、人の波に揉まれ熱気の中見ることができた。仏陀に一歩近付けた気分だった。院内は楽器の音色が絶えず響き渡る。日本から納められた仏像も祭られていた。

「物と心」の両面からの開発を目指す農村開発運動、モラトワのNGO「サルボダヤ施設」、瞑想センターでの瞑想、ミーゴダにある「ぱれっと」のお菓子工場で働く身体・知的障害を持つ人たちとの交流では、有意義な時間を持つことができた。

また、ホテルやバスの中では立松和平先生の仏教との出逢いのお話を拝聴し、色々と勉強させて頂きました。光の国、スリランカで感じたことを生かし、人に光を導いていけるようになりたいと思うようになった。

最後になりましたが、お世話になった旅行関係者の皆様、本当にどうもありがとうございました。

(ぴっぱら2004年6月号掲載)

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