お知らせ

2021.06.01

子どもたちに豊かな地球をつなぐキャンペーン-政府に公開要望書を提出しました

全青協では、昨年より「子どもたちに豊かな地球をつなぐキャンペーン」を、(公社)全日本仏教婦人連盟、(公社)日本仏教保育協会と協働しながら進めています。これは、環境問題の負の遺産を次世代に残さないために、おしゃかさまが説いた縁起観に基づき、環境破壊から再生・維持へ、強い意志を持って実践することを目指すものです。
 1950年代以降、世界中で観測されてきた急激な環境の変化は、数千年間にわたり前例がないものだと言われています。温室効果ガスの濃度は上昇し続け、大気と海洋は温暖化し、雪氷が解けて海面水位も上昇しています。
 ここ数年の猛暑や、集中豪雨の頻発など、日本でも観測されている気候変化に、ただならぬ不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
 「私たちの家は家事になっています。私たちの家が燃えているのです――」と、当時、16歳だったスウェーデンのグレタ・トゥンベリさんは、ダボス会議で世界の政財界首脳に訴えかけました。
 このまま温暖化が進めば、地球はあらゆる生物にとって生きることの困難な星となるでしょう。しかし、各国が経済発展を目指している現状で、問題はいつも先送りされています。
 また、グレタさんが指摘するように、繁栄のために環境負荷を省みなかった前世代のツケを払うのは若い世代です。当事者である子どもたちの意見に、もっと耳を傾けるべきではないでしょうか。
 そこで私たちは、このたび6月1日付にて公開要望書を、内閣総理大臣・環境大臣・文科大臣、そして与野党代表者などへ提出しました。これは、このキャンペーンのアクションプランに含まれているものです。
 今後とも、これらのプランを実行しながら、社会全体が「少欲知足」を旨とする持続可能な「共生社会」を実現し、豊かな環境を子どもたちにつないで行くことを目指してまいります。


内閣総理大臣 菅 義偉 殿

「子どもたちに豊かな地球をつなぐキャンペーン」実施団体
公益財団法人 全国青少年教化協議会
公益社団法人 日本仏教保育協会
公益社団法人 全日本仏教婦人連盟


公開要望書
謹啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
 第二百三回国会の菅義偉内閣総理大臣の所信表明演説に於いて、2050年までにカーボンニュートラル「脱炭素社会」を実現する宣言をされたことに対し、深心より敬意を表します。また、この宣言に伴い、環境省をはじめとする関係省庁が迅速な対応を行いつつあることは、今を生きる子どもたちの未来に光明をもたらすものであると感じております。
 しかしながら、現今での各省庁の施策内容は、経済及び物質面に主たる力点が置かれているように受け止められ、脱炭素社会の実現を目指すにあたっての理念・哲学が抜け落ちているように思われて仕方ありません。仏教では古来「山川草木悉有仏性」、すなわち、この世のすべての存在は、我々人間と同様に仏の性を備えているのだと説いてきました。また、「縁起」の理、すなわち、すべての存在が時間的、空間的につながり合い、互いに支え合いながら存在しているのだという「相互依存性」を真理として伝えてきました。
 環境破壊をはじめとするさまざまな社会問題は、人間至上主義、経済至上主義による負の遺産として生じているものです。今まさに地球全体を生命体、すなわち「ガイア」とみなし、「相互依存性」という理を踏まえて、生命中心主義に基づき、人間を含む地球全体を持続可能なものとしていくことが望まれます。私たちは、今まさに、すべての存在に対して「慈しみ」と「感謝」の念を抱き、「少欲知足」を旨とした、真実の「共生社会」の実現を目指すべきものと考えます。
 このことを実現させるために、次の五項目の実施を強く要望するものです。

《要望事項》
・存在の「相互依存性」を充分に踏まえ、省庁横断で政策立案及び実施を行うこと
・各種政策立案及び実施に於いては、各省庁内に「子ども会議」を設置し、子どもの意見や思いを充分に反映させること
・各種政策立案及び実施に於いては、今を生きる子どもたちにとって、将来的に物心両面での負担とならないよう努めること
・公教育の中で「いのちとは何か」について、子どもたちが自ら考え、気づきを育むことのできる、ICT等を活用した教材作成及びその時間を設けること
・関連省庁の各種委員会委員に相当数の哲学者・宗教者を含めること

以上 合掌