家庭・暮らし

見直しませんか、ふたりの関係―「夫婦力アップ」の秘訣とは

ぴっぱら2015年1-2月号掲載

新しい一年が始まるこの時期、増えてくるコマーシャル(CM)があります。それは一体何でしょうか?お餅のCM?初詣のCM?どれも正解ですが、目立つのは、結婚情報誌や結婚式場など、結婚関連のものです。

お正月に帰省して両親への挨拶を済ませ、幸せな家庭を築くことを心に誓った二人。でも、いまや結婚したカップルの3組に1組が離婚しているとも言われていますから、現実は厳しいものです。

「夜くらいしかゆっくり話せないのに、私の話にはいつも上の空」、「何かあると、すぐ昔のことを蒸し返して『だいたいあなたはあのときも......』って、いいかげんにしてほしいよ」なんて、あなたにも心当たりはありませんか?

子どもがいる家庭では、夫婦間の役割が増えることから、火種は一層多くなります。離婚などには至らないまでも、家庭内の問題は、子どもに影響することが多いのです。「だんな様とギクシャクしていたら子どもが落ち着かなくなってきた」なんていうことを経験された方もいるのでは?

「夫婦ゲンカは犬も食わない」とはよく言われますが、ケンカしないに越したことはありません。身近だからこそ難しい夫婦の関係。さまざまな切り口から考えてみましょう。

◆「会話する」ことの大切さ

11月22日は「いい夫婦の日」とされています。これにちなんで明治安田生命保険相互会社が、インターネットで夫婦をテーマとしたアンケートを行いました。対象は全国の20〜79歳の既婚の男女。回答者の内訳は各年代でおおよそ同数になるよう設定されています。

この調査では、夫婦関係がおおよそ「円満である」群と、おおよそ「円満でない」群に分けて分析されています。

まず、「夫婦円満のためには何が必要だと思いますか?」という問いには、「よく会話をする」と答えた人が、「円満である」人たちでは80・9%、「円満でない」人たちでは54・5%おり、両者に26ポイント以上の開きがあることがわかりました。

また、夫婦の会話時間と愛情の関係を見てみると、「愛情を感じている」と答えた群の平日の夫婦の会話時間は105分、「愛情を感じていない」と答えた群の会話時間は44分と、実に2.4倍もの差がありました。

愛情度が高いから会話が増えるのか、会話が多いから愛情度が高まるのかはわかりませんが、夫婦間の愛情を高めるには、会話によるコミュニケーションが重要であることがわかります。

そして昨年行われた同アンケートによれば、配偶者から言われたい一言の、ダントツの1位は、夫婦ともに「ありがとう」でした。2位が、夫は「お疲れさま/ご苦労さま」、妻は「愛してる/好き」、と続きます。

「『ありがとう』はいいけれど、いまさら『愛してる』だなんて......」と思っただんな様、ご安心下さい。いまはメールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)といった便利なツールもあります。口に出すのを躊躇してしまうような照れくさい言葉は、文字にして伝えてみましょう。

しかし、やはり直接言葉を交わすこと以上に心の距離を縮めてくれるものはありません。特に女性にとって「話すこと」は特別なようです。それは次のような、男女の違いに起因しています。

◆女性は「共感第一主義」

「女性はおしゃべりが好き」ということに異論をとなえる人は、あまりいないのではないでしょうか。「うちの奥さん、一度話し出すと長くて。こっちも疲れているんだから少しは気を遣ってほしいよ」なんて、毎日奥様に冷たくしていると、そのうちコワいことになるかもしれませんよ。

女性は、右脳と左脳の連携が男性よりスムーズだと言われています。それは、両方をつなぐ神経の束(()())が、女性の方がやや太いから。それによって、感じたことをすぐ言語化して、どんどん口にするのが得意なのです。

これは逆に言えば、脳に浮かんでくる言葉を口にできなければ、ストレスがたまるということ。アメリカの神経科学者による説では、女性が一日に話す単語は男性の3倍であると言われています。

こうしたおしゃべりに毎日付き合っているのに、「あなたは私の話を聞いてくれない」と責められるとすれば、それは女性が欲している「共感」が足りないのではないでしょうか。

共感とは、わかりやすく言えば「あいづち、うなづき、くりかえし」のことです。たとえ真剣には聞いていなくても、「そうか」「うんうん」と時々うなづき、「大変だったのよ!」と言われれば、「大変だったんだね」と答えることです。これだけでも、ずいぶん女性は聞いてもらった(わかってもらった)気がするものです。

だんな様がよくやってしまうのが、「うんうん」と聞いたあとに、「それって、君がこうすればよかったんじゃない?」とか「そんなのたいしたことじゃないよ」と、解決方法を提示したり、結論付けて話を終わらせようとすることです。「君が言いたいのは要するにこういうことだよね」と頼んでもいないのにまとめられるのも嬉しくありません。

奥様がして欲しかったのは、ただ聞いてもらうことだけ。話の腰を折られた奥様は満足できず、イライラがたまっていくことでしょう。

そこで、だんな様にお願いしたいのは、とりあえず15分間は話を聞いてほしい、ということです。1時間も2時間も話されたのではたまらないという男性も、15分聞けばいい、と思えば大分気が楽になるのではないでしょうか。

だんな様が本当に忙しかったりして時間が取れないときは、「週末なら余裕ができるからまたゆっくり聞くね」など、代替案を提示して奥様を安心させてあげられれば二重丸です。

たまにもらうサプライズより、毎日話を聞いてくれる方が安らぐ女性たち。心を通わせたいという大きな欲求を満たしてあげるのが、だんな様からの何よりの贈り物です。

◆特化した作業が得意な「男性脳」

女性と男性では、会話の目的が違うことが、なんとなくおわかりいただけたのではないでしょうか。共感を求める女性に対して、男性にとっての会話とは、基本的には「目的を果たす」ためのものです。左右の脳の連携が女性ほど活発ではない男性の脳は、おしゃべりにはあまり向いていませんが、左右の脳それぞれの役割分担がはっきりしている分、一つのことに特化して作業を行うのに向いていると言われています。

アメリカのある大学の研究によると、脳内の感情を処理する部分が、男性と女性では違っていることが分かったそうです。とくに、ネガティブな感情を処理する場所は、男性は脳の中の情動を管理する器官(偏桃体)であるのに対し、女性は理性、言語といった高度な脳活動を司る器官(大脳皮質の前頭葉)であるとされています。

つまり、男性の不快感が「モヤモヤした気持ち」であるとすれば、女性の方は「具体的で鮮明な記憶」となっていて、しかも「言語化」されやすい傾向があるというのです。加えて、大脳皮質は長期記憶を貯蔵する場所でもあります。「女は昔のことをよく覚えていて蒸し返してくる......」というぼやきは、まさにこの仕組みからもたらされているのです。

男性の脳の、一つのことに集中しやすい性質、そしてネガティブな記憶をあまり具体的に保持しないという特性は、仕事をしていくうえでは、なくてはならないものです。疲れた、苦しい、痛い、怖い――などという気持ちをいつまでも感じていたら、獲物を求めて危険なジャングルを歩き続けたり、毎日、上司のイヤミや恐い取引先に耐えて何十年も勤め上げたりすることなど到底できないに違いありません。自分の痛みに気づきづらい傾向、つまりいい意味での「鈍感力」が、時として家庭の中では、「察する」ことができない、気づいてくれないと不評を被る原因となっているのです。

夫たちが狩りに出ている間、しゃべれない赤ん坊を育てなければならなかった女性は、左右の脳を総動員させて、目の前の一瞬の表情の変化も見逃さないよう進化してきました。だから女性は、だんな様にも自分と同じことができるはずだと思いがちですが、ふと浮かべる悲しげな目の表情や、小さなため息が不満のサインであることなどは、到底分かってもらえないことです。

ですから、「察してくれないのは、私のことがどうでもいいからだわ」などとは思わず、ストレートにそのことを伝えたほうが、思い通りに事が運びます。

また、一般的に男性はプライドの高い生き物ですから、頼み事などを命令口調で言ってはムッとされます。「やってくれたらうれしいな〜」と、だんな様を頼ってやる気にさせましょう。そして、実際にやってくれたら、すかさずほめて、自尊心をくすぐって下さい。家事など、女性は自分の普段のやり方というものがあるので、ついつい口をはさみたくなりますが、そこはぐっとこらえて、「ありがとう」と感謝しつつ見守りましょう。

真っ直ぐさ、シンプルさこそが男性の魅力。女性は先回りしてあれこれ考えすぎず、おおらかに、だんな様との生活を楽しみましょう。

◆互いを知り、努力すること

もちろん、個人差があることですので、男性だから、女性だからと、ひとくくりにすることはできませんが、思い当たることが皆さん、少しずつあるのではないでしょうか。

私たちは、「自分がされて嫌なことを人にしてはいけない」と教わって育ちました。逆に言えば、自分がされて嬉しいことを他人にもしよう、と思うのが自然です。しかし、それをそのまま男女間で行うと、「妻が元気がない様子だったので、そっとしておいた」(←女性にとってはむしろ、察して声をかけて欲しい状況)、「彼が元気がなかったので、盛り上げようとたくさん話しかけた」(←男性にとっては、そっとしておいてほしい状況)など、よかれと思ったことが裏目に出てしまうことにもなりかねません。コミュニケーションのなかで違和感があったときには、誤解してひとりで傷つく前に、「私は」こう感じたのだけど......、「私は」こう思ったのだけど......、といういわゆる「I(アイ)メッセージ」を用いると、相手の気持ちを害さずに、自分の率直な意思を伝えることができるでしょう。

最後に、それでもケンカになってしまった際の「上手な夫婦ゲンカの五箇条」を紹介しましょう。

①勝とうとしない......ケンカをすると、相手を打ち負かしたくなりますが、そもそもケンカの目的はその先の相互理解のはず。とことんやってお互いに深手を負う前に冷静になること。

②犯人を捜さない......「そもそもあなたが」「いつもお前が」と責任を相手に押しつけてもこじれる一方。どうしたら目の前の問題が解決するかを優先させましょう。

③別の話を持ち出さない......「そういえばあの時だって......」と議論がすり替わると、話が複雑になり、収束までの道のりがどんどん遠くなってしまうので避けましょう。

④堂々めぐりになったら中断する......お互いに同じことを繰り返し言い出したら、言いたいことを一度吐き出した証拠。ケンカの目的が達成されたも同然です。同意の上でいったん休戦して、互いの言い分を持ち帰りましょう。

⑤あいさつは無くさない......ケンカの後、お互い無視し続けていると、意地の張り合いが長引きます。「おはよう」「いってらっしゃい」などのあいさつだけは欠かさないことを、普段からルールにしておきましょう。

いかがでしょうか。違う性質の二人が結ばれるからこそ、互いを磨く磨き石となり、環境の変化にも長所を生かして対応することができるのです。男女の傾向の違いを知り、いただいたご縁に感謝しながら、末永い関係を目指したいものです。